文月のおたより
2023.07.01
紫や青、白の紫陽花が美しく咲き誇る梅雨の季節。通勤、通学中の雨は辛いものですが、畑の作物や木々にとっては恵みの雨でもあります。心に余裕を持ち、四季の移ろいを楽しみながら過ごしていきたいものです。そうして一雨ごとに夏が近づき、あっという間に入道雲の季節がやってくるのです。
そんな、夏の到来ともいえる7月の和風月名は「文月」。短冊に歌や願いごとを書く七夕の行事から「文披月(ふみひらきづき)」とも、稲穂が膨らむ頃であることを意味する「ふくみ月」から転じて「ふみづき」になったともいわれています。
月名の由来にもなっている七夕は五節供のひとつで、現在でも広く親しまれています。織姫と彦星のお話は特に有名です。子どもの頃に短冊に願いごとを書いて吊るしたことはありますか。竹笹に短冊を吊るすようになったのは、江戸時代からだといわれています。手習いをする人や寺子屋で学ぶ子どもたちが、サトイモの葉に溜まった夜露を集めて墨をすり、その墨で文字を綴って上達を願ったとか。サトイモの葉は神からさずかった天の水を受ける傘だと考えられていたため、その墨で文字を綴ると字がうまくなると信じられていたようです。そう考えると、欲しいものを願うより、上達したいと思うことを願ったほうが、願いが叶いそうです。たむらでは、七夕をモチーフにした可愛らしい上生菓子をご用意しております。天の川を眺めながら、美味しい七夕を楽しんでみてはいかがでしょうか。
さて、暑さが厳しくなると思い出すのが、土用の丑の日とたむらの「土用餅」。宮中行事が時代とともに形を変え、江戸の頃から厄除けの小豆餡で餅を包んだあんころ餅を食べると、暑さに負けず無病息災で過ごせるといわれてきました。
たむらの「土用餅」は、つぶ餡、こし餡、さらにずんだ餡、海苔たっぷりの醤油餅がセットになった特製土用餅。今年も7月29日(土)、30日(日)の2日間限定で、本店、ながの東急店にて販売いたします。数に限りがございますのでご予約いただくのが確実です。ご用命をお待ちしております。
さらにたむらでは、夏にぴったりの甘味「フルーツあんみつ」をご用意しています。たむらのフルーツあんみつは、川中島白桃や松代産の杏「信山丸」のシロップ漬けのほか、パイン、甘夏の4種のフルーツ入り。そこに賽の目に切った白とピンクの寒天、塩味の効いた赤エンドウマメを加え、氷砂糖で作った優しい甘さのシロップをたっぷりと注ぎます。トッピングの餡と求肥はもちろん手作りで、餡は丹波の大納言を用いてじっくりと炊き上げたもの。寒晒で作られた上質な白玉粉を使って練り上げた求肥は、白とピンクでかわいらしく仕上げました。暑い夏だからこそのの美味しさを、ひんやり味わってください。
店主